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カブの魅力は何ですか? 『所さんとスーパーカブ』 ロングインタビュー その5

 最もダメなのは、誰かがそういう風にやったものをただただ、買う。これはもう、面白みが一つもない。こーかな? あーかな? って言いながら、順繰りに遊んでいくのが面白い。はじめからお金があって、こうやってくださいって丸投げしてぜんぶ、スカートからオーバーフェンダーからトレッドまで全て手を入れたモノは良く出来上がってくる。でも、自分で遊んだところが一つもない。まず車高下げてみよう、と。かっこよくなったねぇと。スカートどうなの? と。付けてみた、悪くないねぇと。ここまで横が広がっちゃたんだから、オーバーフェンダーがいいよ、と。オーバーフェンダーつける。オーバーフェンダーならトレッド広げたほうがいいよ。スペーサーかまそうよ、と。そういうのが面白いんだよ。その、ぜんぶの面白みに自分が参加するっていうね。だから楽しんだよ。多分、97チャンネルを読んでくれている皆さんは、ワタシの遊びの途中、途中も見ているから楽しんだよ。あと、痛い目にあったりするからね、俺が。「合わねえじゃんか! ここが!」って。そのおっちょこちょいが面白いんだよ。
 多くの人は合うものを買うんだよ。確実に。合わなきゃ、クレーム言うんだよ。メーカーに戻すとか。「合わねえじゃねえか」とか、目くじら立てて、お金も返金! とか。そんなところに参加したくないんだよね、俺は。端っから、合わないかも? って。買い物っていうのはそういうこと。服だって、買ってみたけど合わないってのがあるんだからね。だからその、台湾製のレプリカパーツなんてひとっつも良くないけどさ。全く合ってねーし。でも、それを見て、もう合わないって泣くんじゃなくって、「なんとかしようぜ、清野くん、これを」ってやっているのが面白い。で、清野くんだってちゃんと合わせたいけど、「いいですか、これで?」って。別にいいんだよ、これで。遠目にはわかんない、とかね。その合わないレプリカに、合わせてフォークを削いでいくとか、板金するとか。そこが面白みのあるところだよ。だから、一般の人からするとマイナス方向に行っちゃっているよね? だって一般の人だったら、合わないパーツが来たら、使わないか、クレームか、泣き寝入りする。ウチは、そのレプリカのパーツを着けるために板金の方が大変じゃん?お金もかかるし、時間もかかる。それが面白いとこじゃん。仕上げの方が、レプリカパーツを上回っちゃうっていうね。

その6(最終回)へ続く

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