バイク

所さんが仕立てるハーレーカスタムの真髄に迫る!! その08

製作途中のハーレーが
世田谷ベースにやってきた
カスタム作業は所さんへバトンタッチ
アバター
所さん
例えば、川に枝が流れてても誰も拾わないじゃん。でもそれを拾ってみようと。そうすんと、あれ、幹が付いて来たぞ、あれあれ、実がなってるぞ、の先に亀が付いてきたぞなんてコトになる可能性がありますよってことなんですよ。みんな枝だけ見てると、そんなもん拾ってもしょうがねーよって思うだろうけど、引っ張ってみろよっていうことですよ。とにかく、手を汚してでもなんでも、なんでもいいから拾ってみってこと。そうすんと、その先に何が食いついてるかわかんないし、長靴の片方が出てくるかもしれないし、それはそれで面白いじゃんと。そこにある、ボロくて錆びててパンクして、チェーンも半分外れてて、事務所の裏に何年も放置されてた自転車をあげるって言っても、みんないらないって言うもん。ちゃんと自転車として乗れないし、直すのも大変だし、マイナス面がいっぱいあるんで。直すにしても金かかるし、直すんだったらもっと良い自転車の方がいいしって即座に思うと思うんですよ。だからいらないって断っちゃう。いやいや、でもなにか面白いモノが出てくるかもしれないんだから、食いつかないと。引っ張り出さないと。簡単なモノは誰でも食いつけるわけですよ。だから未知の所から何かを引っ張り出すってのがクリエイティブなんですよ。フェラーリ買ったら、うわーって興奮してみんな満足。だけど、それは人が作ってくれた満足だから。買ったのは自分。お金を動かしたのも自分だけど、フェラーリ作ったのは他の誰かなんですよ。そこまで働いた自分を褒めて、フェラーリに乗れる俺がいるってな満足感なんだろうけど、だけど、そのクルマに自分は何したの? って。例えば素晴らしいフェラーリを前に、このクルマは性能が良いって言ったところで、その性能に自分は関わってないわけですよ。そのクルマに自分が参加できていないって、そんなんじゃ、僕は満足できないんですよ。だから、馬が寝た時点で、この馬は俺が寝かしたんだからねって、参加できているわけですよ。そうなってくると、フェラーリが俺のモノになってくるわけですよ。俺に言わせりゃ、フェラーリの12気筒を開発したヤツより、馬を寝かしたヤツの方がスゴイって思ってるもん(笑)。そうなのよ。そのほうが自分が大満足なんですよ。トランザムにしても、塗装剥がしてサビさせたりして遊んでたでしょ? そしたらもう、俺が参加しちゃてるわけだからね。そんなのポンティアックやらないもの(笑)。うん。そうなんですよ。誰も面白いと思ったことの無いところで盛り上がってるんだから、こんな満足感無いよ。みんながそれは楽しいですねってのただただ参加して共有しても、独自のモノじゃ無いからね。例えば、フェラーリの話じゃ無いけど、お金持ってる人が3000万出してフェラーリ買いました。じゃ、俺も買おう、俺も買おうって、同じじゃん。そんなの全然満足できない。あとね、前々からお金じゃ無いって言ってますけど、それは、お金を持ってるか持ってないかって話じゃ無くて、お金を使って買ったところで満足できないってことなんですよ。お金がある人、無い人、ってことを言ってるわけじゃないんですよ。上にあるゼンマイのオモチャの窓をCDケースを切って作ったんだけど、あれだって、普通は35ドル出して、純正の窓を買いますよ。そのパーツを使って、レストアしますよ。もしくは、プラ板の良いやつ買ってこようってさ、その方が、加工もしやすいしね。でも、それをそこら辺にあったCDケースをさ、捨てるのもったいないしなぁ、これ切ればできちゃうんじゃないの?
あっ、割れちゃったとか、堅てぇなぁ、質が悪いなぁなんて言いながらなんとか切って作っちゃったって時には、満足感が凄いわけですよ。そうすんと、切り抜いたCDケースだって捨てないもんね。大事にしちゃう。その全体像が俺の満足感なんだよね。それが買ってきたプラ板だったら、切り抜いて使わない部分なんて取っておかないし。そうじゃなくて、CDケースがこんなになっちゃうんだぜってのが、俺の満足感なんだよ。綺麗にできたできないじゃないんですよ。CDケースでトライしたってことが俺にとっては凄く楽しいコトなの。クスクス笑っちゃうよ。そこなんですよ。バイクだって、サンダンスの2階にあったパーツで何とかしようってのが面白いし、例えば、道具立てが全部ある工場で、さぁどうぞ作ってくださいってなって作ってるのも面白くない。ココでやるから面白いってのもあるよね。自宅で晩飯食って、そそくさと、何かしら理由付けちゃガレージに来て、タバコ吸って、コーヒー飲みながら、やっぱココはこうだなぁなんて手を真っ黒にしてやって、家帰って、何やってたの? なんて言われて、そのストーリーが面白いよね。あと、人に「あーぁ、こんなにしちゃったんですか?」 とか言われるのが嬉しいね(笑)。俺の中では傑作なのに、人が見ると、「こんなことしちゃっていいんですか?」とか言われるのは喜びだよ。みんなはコレを求めてない。でも俺は求めてるとなると、なんか特殊なことしてるなぁって思うもん。みんなね、とっても簡単に考えてるよね。番組でさ、“日本の誇れるモノ”を紹介するって企画があったんだけど、そんとき、さっき話題にも出たゼンマイのクルマを持ってったのよ。ゼンマイなのに凄く長く走り続けるとか、4速までギアが付いてるとか、バックもあるんだぜとか、サイドブレーキも付いてるとか、戦争前後にこんなスゴイゼンマイ式のオモチャを作ってたなんてスゴイだろ?なんて散々自慢して、みんな「スゴイですねぇ」なんて驚いて、盛り上がったわけ。これ、スゴイだろ、これドイツ製だぜって。え? ドイツ製? 日本の誇れるモノってくくりなのに、ドイツのモノを紹介するって、それ出鱈目じゃないかって。でも、そうじゃないんだと。世界に誇れる日本のモノっていう企画の中でドイツのモノを紹介できる、その寛容さとか寛大さが日本の誇れるモノなんだって説明すると、なるほどぉってなるわけだよ。普通は、下町の技術がスゴイとか、お米が美味しいとかなるけど、そういうのばかりを外国の人が見たら鼻につくでしょ。そうじゃなくて、ドイツとかアメリカのモノも紹介するんですよ。そうすんと、面白くなっていく。バイクのやりとりもそうだよ。一般の方から見れば、あんなにしちゃって何が面白いの?とか、言うと思うんですけど、こういうことで満足できる俺がいますよって発表でもある訳だよね。例えば、クルマをぶつけちゃって、ああぁ(涙)ってなる。俺は、やがて直しますよって、ニーズリペアとかステッカーで貼る。その方が面白い。すぐに直すことよりも、俺は知ってるけど、いずれ直す予定なんですよって所に落ち着いた方が面白い。凹んだモノをすぐに直すよりも、分かってるよ、やがて直すよってシールを貼っちゃった方が面白い。だって、潰れたモノをすぐに直すってのは、機械的でしょ?しかし、事務所のソファに座って、奥にトランザムが佇んでて、手前にフレームがあって、もうちょっとコケの風合いを足さないとなぁなんて、このフレームを眺めているだけでも傑作だもんね。楽しいしね。夜ずっとここで色々やってるのは。

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