


このバイクが面白いのは、このバイクの前にジャンクハーレー作ったからさ、色んなイメージが入ってんじゃん、自分の頭んなかに。そのイメージをすぐにくっつけてみたりして具現化したってトコですかね。

ご本人でカスタムっていう流れ、来てますね。

そうだね。はじめのころは写真を切った貼ったしたりしてさ、デザインはこうしてってのを見せて、柴崎くんに作って下さいってやってたんだけど、これと、あとジャンクハーレーはテーマが変わってきて、性能も形もちゃんと作ってるんだけど、どっか手抜いてるなとか、これではいけないんじゃないのって首かしげるようなところをあえて作るっていうのを楽しんだんだよね。もうちょっとやった方が良いんじゃないの、ってところがあったほうが面白いなぁと。

完成度が高くて100%以上のものになっちゃうと隙がなくて。本当は、そこまで出来る力があんのに8割がたしかやってない、やんなさいよ!っていうところにその人の魅力があんだと思う。ホームラン打てる力があんのに、ヒットで良いんですよって、イチローみたいな。その方がカッコ良いよね。100%の力出してんだろうけど。オートバイとかクルマも同じだと思う。

そういう意味では、パンヘッドは隙ありますね。

チョー隙だよ。だってこれ、そもそもパンヘッドじゃないんだもん。ヘッドがパンじゃないじゃんって。フレームがパンで、クランクケースもパンなんだけど、ヘッドがショベルになっちゃってる。

そこを楽しむというアイディアもあるわけですね。やっぱりこの一台って気合い入れちゃうと完璧なものをどうしても求めちゃいますもんね。

皆、完璧なものに何か物を足してくじゃん。だからチグハグなんだよ。かつ丼にふりかけかけてるみたいだもん。普通のごはんにふりかけっていうのは分かるんだけど、かつ丼の上にふりかけなの!?っていうのがカッコ悪いんだよ。欲張りな感じがして。だからはじめにおかずが足んないくらいの方がステキなのよ。おしんこ一個乗っけてみて良いね、とか。食べやすくなったとか。塩辛の瓶開けたらご飯もう一杯イケるっていうのがカッコ良い。おかずがいっぱいあんのに塩辛の瓶開けたりすんのは全然魅力感じない。完成度がグッと下がってて、そういうのに何かを足していった方が良いよね。気持ちが良い。

それがこのバイクですね。

看板つけたのは面白かったよね。ちょうど清野くんがクルマの納車に来たとき、ちょっと手伝ってよ、なんつって。フェンダー切ったりとか。

世田谷ベースのガレージの前で、清野さんと一緒にグラインダーで切ってましたもんね。ハーレーのフェンダーグラインダーで切っちゃって良いんだって。

予定してたみたいだよ、その行為が。

どういう意味ですか?

切らないで凹ませて綺麗に組むべきじゃん。切って適当につけちゃったもんだからよく見るとフェンダーの最後がないじゃん。でさ、もう二度とキックはしないから、スターター付けようってやってるでしょ? そんで、新しいクランクケースを無理矢理切った張ったでつけてんじゃん。その時にフェンダーを切らなきゃ入らない位置だったんだって。でも、たまたま切れてたから入りやすいなこれ!って。なんか予定調和みたいだよ。

すごいですね、そのシンクロは。

すごいっしょ。柴崎君が『フェンダー切ってるからこれはもう入りやすい、ドンピシャ。ホントは切らないと入らないんですよ、これ』なんつって。予定してたように切っていたみたいだよ。

すごいですね。先を読んでいたと。

でも、そこまで読めるんだったらキック失敗しないよ。

(笑)

セルをつけることになるなって分かってたってことは、つまりキックを失敗するってことだから・・・・・・。もうよく分かんないよ。未来を読むってほど読めてないな(笑)。

たしかにそうですね・・・・・・(苦笑)。

フレームもクランクケースもパンヘッドの時代に作られたものなのですが、“パンヘッド”というニックネームの由来となっている特徴的なヘッドがショベルになっちゃっているというエンジン。ヘッドカバーはジャンクハーレーに使用されているモノと同じ、THROWBACKのモノ。シリンダーのようにフィンが切ってあるデザインがむちゃくちゃカッコイイ。排気量は1450cc。ノーマルは1200ccですが、そこから、ボアではなく、ストロークで排気量をアップしている所謂ストローカーというチューニングが施されているのであります。

元々オープンプライマリーだったのですが、ベルト部分にカバーを製作。プライマリーそのものは回転している様が見える仕様でございます。全部カバーしちゃうと味気ないし、だからといって、ベルトまで露出させているといざというときに巻き込まれる危険性大。ということで、その間をついたカスタムなのである。