ピッカピカなフレームの脇に、銀色に輝くエンジンとミッションを用意。いよいよ車体にエンジンを搭載します。まだシリンダーやトランスミッションがついていないので、それほど重くなく、ご覧のように一人で搭載することが可能。この状態でエンジンマウントの締め付けを行い、その後エンジンの後ろにトランスミッションを取り付ける。仕組みもそうですが、搭載の方法もクルマそっくり。とても合理的です。
今回選んだジーベンロック製シリンダー&ピストン。このシリンダーは鋳鉄スリーブを使わずアルミにメッキを施しているため放熱性と耐摩耗性に優れています。ピストンは鍛造で軽量。側面はモリブデンのコーティングが施されて初期の馴染みを向上させています。圧縮比はノーマルの9:1から約9.8:1へアップ。
クランクケースをフレームに搭載した後、ピストンとシリンダーを組み付けていきます。多くのバイクは、シリンダーがクランクケースの上部に乗っかっており、その上にフレームが通る仕組みとなっているため、シリンダーとクランクケースは組み付けてからフレームに搭載するというのが一般的。一つ一つのシリンダーが左右に特立して、しかもフレームが邪魔しない、フラットツイン独特の作業工程と言えます。エンジン搭載後もシリンダ、ヘッドバルブ回りの整備性がとても良いというのも利点。
ヘッドとバルブまわりは、洗浄計測の後、バルブガイドを製作し交換。バルブシートはシートカット、バルブフェイス研磨等のオーバーホールを行っております。このフラットツインはOHVのため、取り付けの時もカムチェーンをかけるような面倒な作業はナシ。ロッカーアームはシャフト部のニードルベアリングを入れ替えてから組み付けし、ヘッドにロッカーを取り付けたらクリアランスを確認。そしてヘッドカバーを取り付けて終了です。
トランスミッションとシリンダーを組み付けたら、次はエンジンの上にセルモーターをセットします。それが終わったらカバー類の取り付け。まずはフロント、そしてインテークマニホールドが接続されるエアクリーナー部分を装着。エンジンがどんどん完成に近づいていきます。
パワーユニット、遂に完成!!
見よ、このBMWの機能美
ついに完成したエンジン。レトロさを感じさせるだけでなく、不要な凸凹が一切ないこの独特のデザインはフラットツインBMWだけ。“ビーマー”って呼ばれる人BMW愛好家達はこの姿にやられてしまっているわけです。前方のクランクケースカバーやヘッドカバーの造形も素晴らしい。こうやってみるとまるで飛行機のエンジンよう。それもそのはず。BMWは昔、ドイツ最大の航空機エンジンメーカーだったわけですから。エンブレムも飛行機のプロペラをイメージしているし、乗っている人曰く、実際の排気音も飛行機っぽいんだとか。早く排気音聞いてみたい!
キャブレターは性能に定評のあるケイヒン製のFCR39を選択。剥き出しのファンネルにはせず、あえてノーマルのマニホールドとエアクリーナーボックスを使用して装着します。エレメントはナシ。エアクリーナーボックスは、大きな異物や雨水の吸入を防ぐだけでなく、セッティングを安定させるという効果もあるそうです。
次回は燃料タンクです!【vol.10へ続く】
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