バイク

SETAGAYA CUB GROUP が手がけたスーパーマシン スーパーカブでラットロッドを作っちゃおう計画 12

MIZUI Factory Racing Cub
所さんのカブのエンジンを組んでもらっている際、水井さんのガレージを覗いてみると、なんだかスゴいマシンを発見。これ、もしかして・・・・・・。これぞカブカスタムの頂点。目指したのはワークスマシン。60年代、ホンダが世界GPに挑戦して時計仕掛けのような精密なエンジンで世界の強豪を打ち破り、無敵を誇った『RC』を再現してしまったそうなんです。

60 年代、ホンダが世界に挑戦して栄冠を勝ち取ったファクトリーマシン、RC レーサーは、多くのホンダファンにとって現在も憧れのマシンであることは間違いない。そんなRC をOHVのスポーツカブベースで作ってしまったのがこのマシンだ。単にRCのスタイルを再現するのであれば、もっと簡単なバイクもある。けれどそれを敢えてカブで挑戦するというのがカブマニアのこだわりだ。カブ&ホンダマニア垂涎のプロジェクトなのだが、実は前オーナーが途中まで形にしたものの諸事情で製作を断念することになった。そこでOHVカブのグループ、水戸藩のメンバーである水井氏が次のオーナーとなり、製作を引き継ぐことになった。
 長く置かれていたエンジンは走行できるような状態ではなかったため、分解して一から作り直し。OHVエンジンのチューニングに関しては独自の考えを持つ水井氏は、そのノウハウをすべてこのエンジンに注ぎ込んで形にしていった。現状で排気量は68cc。ストレートスピードは120km/hに達するまでになったという。
 外装や車体は貴重なパーツで固められている。60年代、ホンダから出ていたY部品(レース用部品のこと)を探して、できる限りRCレーサーに近づけることがコンセプトだった。ただ、やはり簡単に部品が見つかるはずもない。足りないものはワンオフで部品を作っていった。こうして完成したマシンはバランスが良く、ハンドリング、エンジン共にとても扱いやすかった。
 レーサーなのに神経を使わず乗ることができる。水井氏は時々、旧車の走行会やイベントに参加して、このマシンの走りを楽しんできた。しかしここからの目標は速さやタイムではなく、少しでも当時のRCレーサー部品を使っていくことなのだという。マニア垂涎のレーサーはこれからも少しずつ目標に向かって進化していくのである。

この日は、組み上がったばかりのエンジンを慣らし、そしてセッティングを行う為のテスト走行が行われた。翌月に開催される予定のサーキットランに向けての準備である。現場でエンジン調整を行う為に、工具箱の中には大量のレーシングプラグとキャブのジェットが用意されていた。
特徴的なアルミのロングタンクはホンダの市販レーサーCR110カブレーシングのレプリカ。イギリスでこのタンクが製作されていたために輸入した。カウル、シートも同様に海外でレプリカ品を探し出した。前後のバンドでタンクを固定するのがこの時代の特徴だ。メーターの固定方法やハンドル周りの作りも当時のイメージを忠実に再現している。
走行の準備をする水井氏。以前はツインリンクもてぎで行われていた旧車のイベントに参加していたが、最近は走る機会も減ってきたとのこと。久しぶりに始動させたレーサーは素晴らしい排気音を轟かせていた。

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