あれはフロントエンジンなんだけど、純正のマフラーはド鉄なわけですよ。それじゃダメでしょと。最低ステンレスじゃないと。高級車なんだからそれくらいはしろよと。なんでステンレスで引き直すんだけど、コレは改造ではないよね。改良。メーカーがこうするべきだろってところをやり直しているだけだから、俺のカスタムってわけじゃない。
なるほど。
612だってそうなわけですよ。バンパーの所を押してブカブカするのはこの車格からしたらおかしいだろと。それが、フェラーリのディーラーに言わせりゃ他の612もブカブカしてますってそういうことじゃないでしょと。
ですよね。
ワタシがクルマのインポーターのマネージャーかなんかになったら、凄いですよ。日本人はこういうところを気にするから直して欲しいとか、事細かにやってから輸入するね(笑)。
(笑)。
せっかく良いクルマなのに、雑に輸入しすぎだよね。ちょっとしたことなんだけど、細かく詰めていけば、もっと全然良くなって行くのにね。
こうやって色々とお話をお伺いさせていただいていく中で、思ったことがあるんですが。
なに?
所さんって、作為的に格好いいクルマを作ろうっていうアプローチからカスタムされていないんじゃないかなぁって。
おぉ、そうかもしれないね。
世間一般的に格好いいとされるモノをなぞれば、それは今のトレンドの格好いいモノとして見えるかもしれないんですが、それとは全然違いますよね。
なるほどね。
今何十年も前に作った500TEやキャロルを見ても、斬新ですもんね。きっとこれがその当時の流行りだったとしたら、古くさいカスタムカーになっちゃいそうですけど。今見てもカッコイイし、しかも圧倒的に個性を感じますよね。
みなさんね、焦りすぎてますよね。格好良くしたいって、あわててやるでしょ。一番簡単なのはね、今売ってるクルマ買ってきて、メーカーが出してるパーツ買って付けて、ってそれは簡単だし、お辞儀もしなくて良いし、お茶も出さなくても良いし、人間関係を作らなくても良いし、毎日通わなくても良いし、金だけ出せば出来上がるもんね。
そうですよね。
でも、そういうものはそこまでのレベルにしかならないんですよ。
たしかに。
作業する側の人間が、オーナーの人となりを想像しながら作り上げていくモノにはかなわないわけですよね。
そうするためには、人間関係を作り上げていかないとならないと。